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シャムスカ・マジック
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シャムスカ・マジック

ペリクレス・シャムスカ (著)
¥882(税込)
講談社新書


大分トリニータの指揮官、ペリクレス・シャムスカ監督初の書。

章立ては、
第1章 人心掌握力
第2章 育成力
第3章 観察力
第4章 対応力
第5章 分析力
第6章 私の原点

となっており、一見、ビジネス書っぽい著者の理論、哲学が中心のように思うかもしれないが、そうではない。トリニータの監督に就任した2005年シーズン以降の各シーズンの回顧と主要プレーヤーの選手評などを中心にして、自身のサッカー観、ブラジルでの自分の生い立ちなどが書かれており、難しい戦術論や堅苦しい組織論の類はほとんどない。大分サポでなくても誰でも読み易い内容となっている。シャムスカが来日してからのJリーグでの本人、チームが成長していく過程がよく伺える。

個人的には以前から、シャムスカが大分トリニータという(縁もゆかりもない)日本の田舎クラブに関わるきっかけというものを知りたかったのだが、発端はサンパウロ在住の代理人(現Fマリノス専属代理人)松村クラウディオ氏からの紹介ということで、その二人を橋渡ししたのがガンバ、トリニータでもプレーしていたアンドラジーニャだったということである。

そのほか、選手時代はベベット(元ブラジル代表)や現在トリニータでプレーしているウェズレイとは同じチームで戦った間柄であるとか、(憧れだった)ジーコとは日本に来て2年目のシーズン開幕直後に初めて会ったということ、現在のチーム内での鈴木慎吾のキャプテンシーを非常に高く評価していることなど、端々で興味深いエピソードが語られている。また、今期、「堅守の大分」と評されているチーム戦術については、決して守備重視(中心)という考えではなく、きっちりした守備を基点に攻撃を組み立てる戦術であると、とかく守り偏重のサッカーと言われがちであることに対しては異を唱えている。

本人の今後については、やはり代表監督(国は問わない)を最終目標にしているとのことで、2014年の母国開催のワールドカップでそれが実現できれば幸せであると素直に語っている。日本代表監督については、今なお、アンチ岡田、外国人監督待望論も一部に根強くあり、その候補としてストイコビッチとともにシャムスカの名前はよく挙げられる。そういう人たちにとっては、ますます期待を抱かせる発言であろう。

この本は初版7,000部ということだが、増刷は間違いないだろう。なんでも、売り上げの一部はクラブにも入ることになっているらしい。涙ぐましい「貧乏クラブ愛」ではないか。

大分サポだけでなく、シャムスカが幅広く支持されている理由はこういうところにもあるのだろう。
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by karl.helmut | 2009-02-08 13:38 | Others | Comments(0)